2021年1月22日 一般社団法人日本社会連帯機構/理事会

1、日本社会連帯機構は、労働者協同組合・ワーカーズコープが母体となり今年で設立から17年目を迎えました。持続可能なコミュニティづくりやそのための仕事と生活、そして活動を生み出すことを大きな目標としてきています。同時に、社会的課題にも取り組み、沖縄での辺野古基地建設反対や日本の種を守る取り組み。格差・貧困の問題や介護保険制度などの社会保障制度等多岐にわたる活動を行ってきています。平和の取り組みでも、「ヒバクシャ国際署名」や「核兵器のない平和な世界を願って」いわさきちひろカレンダーの普及なども行っています。この度の、核兵器禁止条約の発効にあたり以下の声明を発表いたします。

2、1945年8月、広島・長崎と人類史上はじめての原子爆弾が投下されました。一瞬にして広島では約14万人、長崎では7万人の尊い命が失われました。以来、被爆者の皆さんは筆舌に尽くしがたい苦難の人生を歩み、現在もその後遺症に侵され苦痛とともに、「もう二度とあってはならない」との思いを.抱き生きています。“原爆は、人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許しません。核兵器はもともと、「絶滅」だけを目的とした狂気の兵器です。人間として認めることのできない絶対悪の兵器なのです。”

3、2021年は被爆76年目の年です。そして、長い道のりでしたが、被爆者の皆さんをはじめ全世界の平和を願う人々、国連、諸国政府の努力が実を結び、本日(1月22日)核兵器禁止条約が発効しました。人類史上はじめて核兵器に関するあらゆる活動が国際法によって禁止されます。日本社会連帯機構は、この核兵器禁止条約の発効を心から歓迎します。

4、アメリカをはじめとする核保有国、大国の圧力にもひるまず条約の起草・採択・発効で先頭に立ったのは、人口や経済力では小さな国や発展途上国でした。しかし、唯一の被爆国である日本の政府はこの条約に参加していません。国連での首相演説や日本決議で禁止条約に一言も触れない態度について、国際社会は「日本はなぜリーダーシップを発揮しないのか」と失望と不信感を強めています。本当に、残念なことです。

5、今、世界は新型コロナウイルス感染拡大、まさにパンデミックで未曾有の苦境の只中にあります。このような中でも、ストックホルム国際研究所によればアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国・インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮の9か国で1万3400発の核弾頭が保有されています。そして、ICANによると9か国で一年間に7・8兆円が核開発予算にあてられたと報告されています。コロナ感染に核兵器は何の役にも立ちません。

 6、今年は、東日本大震災・東京電力福島第1原発事故から10年です。政府は「2050年温室効果ガスゼロ」を掲げています。危険な原子力への依存をやめ、脱炭素・脱原発・再生可能エネルギーの大規模普及によるグリーン・リカバリー(環境に配慮した回復)への政策転換が求められます。また、新型コロナという新たな困難も踏まえて、引き続きの福島への被災者・被災地支援を要請します。

7、最後に、昨年末、12月19日に開催された第11回日本社会連帯機構・定時総会では、日本原水爆被害者団体協議会・田中煕巳代表委員も来賓として挨拶され、条約の発効を喜び、同時に日本政府への条約参加を求める署名について協力を訴えられました。「失業・貧乏・戦争なくせ!」は私たちの原点でもあります。この条約の発効を契機に、私たちも多くの皆さんといっしょに日本政府へのこの条約への参加を求める署名行動にも取り組みます。